›1 19, 2005

平成9〜15年 No.1

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  1. 春採湖の空 長く〜長く切れ間なく続く雲に あづかりたし 我68才
  2. 湖面をさがし水鳥の足跡 長く直線に続いている 春採湖
  3. 二匹のキツネ 白湖面で舞ながら 愛を確かめ合う 一月下旬
  4. 春採湖の丘に並ぶ屋根 太陽の光うけ湖面に映る
  5. 散歩道 しきりになだめても なだめても 吠え続ける犬 頭を下げて通り過ぎる飼い主 我人相が悪いのか?
  6. 二月十三日 妻の父の命日 寒く〜寒く 我鼻をすする
  7. 散歩道の友 白い息 吐きながら 笑い顔 幸せ一杯
  8. 二日間降りし雪 風が作る砂漠模様 美しく 自然の力 頭が下がる
  9. 湖面包む 木々に白い花 満開につけ 我清くも成り 力強く進行する 石炭車 淋しくも成り 湖畔の岸辺
  10. 丘の上に立つ煙突の黒い煙 垂直にゆらり〜ゆらりと 空に登る 静けさの冬の春採湖
  11. 四十二年前の結婚記念日 妻の顔には長いシワ 我の顔にはシミ あと何年生きられるか あゝ 無常!
  12. あと幾つ寝ると 氷が融けるのか うなずきながら数えるが 首がだるい老人の首
  13. 数百羽の水鳥の群れ 湖面に浮かんで春をまつ 我も一枚服をぬいで春をまつ 今日は四月一日
  14. 五月の風はホホを冷やす 大波・さざ波 太陽の光を受けて輝く 山桜が揺らぐ春採湖
  15. 緑の森より小鳥の声 遠く近くに聞こえる 春採湖の生活の香いがする
  16. 年に何度か訪れる故郷を目の前に 心ははやり メガネが霧に曇り 目に涙 体は震え 六十年前がよみがえる
  17. 息子一年の一度の帰郷 妻は朝からそわそわ 市場にカニを求めに行く
  18. 息子一年ぶりに帰る おかえりと声をかえる妻の顔 目に涙一筋 年のせいか
  19. 一年ぶりの息子にサービス 夫は他人さまと妻は独り言 サービス サービス 妻の笑顔
  20. 息子の顔色を見て安心 シワが一つ減って見えるが、また明年の顔色を心配する 妻の顔のシワが一つふえる
  21. 湖面の粉雪が舞いあがり 七色の光に包まれて 我も七色に包まれる 三月十日 散歩道
  22. ボート乗り場に一列にならべしカモメ 春の空気を一杯吸って 波きらきらと 我の体に映る
  23. 十二年の療養中の娘 帰家すも 病気は良くならず 親は涙で目がかすむのみ